唇にキスを、首筋に口づけを



私は恐る恐る奴を見つめた。



すると少し首を傾けている。




「女性の冥土に着替を頼んだが・・・?」



何か悪いか、ほんな風に付けたしそうな言い草。



はぁ、私は安堵の息を吐いた。




まだ嫁にいける。



誰のって感じだが。




そんなことをしていると私がさっきまでいた部屋にやって来た。


「とにかくお前は部屋にいろ。


俺の部屋はすぐ右隣だ。



何かあったら言え。」




そう言って私を押し込もうとする。




あ・・・、



まだ聞いてないこと、ある・・・!




「私がここに来てどのくらいたったの?」




「三日目・・・か?」




ふぅ、私は息を吐いた。



まだ三日目か、と。




「今何時なの?」




「午後の1時くらいだが。」



1時・・・。



なのにこんなに暗いの?



「この世界に太陽は当たっていないの?」



「さっきから質問ばかりするな、お前は。」




だって、気になることだから。




私は特に何も言わず奴を見つめるだけにしておいた。




はぁ、とヤツはため息をついてまた話し出す。




「太陽の光は当たるさ。


しかしヴァンパイアの屋敷の造りは大抵日が当たらないようになっている。」




・・・そうね、日光に弱いし。



それもそうか。



じゃあ外にでれば日の光はあるのか・・・。



何故か心に余裕が出来る。




「私はこれから何をしていればいいの?」




ヤツは少し顔を顰めた。



考えている様子だ。




「逆に人間の女はいつも何をしているものなんだ?」




え・・・。



そう言われると焦る。




私の生活は大抵家事とバイトとトレーニングだ。




ここでは冥土も執事もいるから家事なんてものは必要ないだろうし、



バイトもそりゃあ出来ないだろう。




トレーニングなんてしたら私の身体のは溶けてなくなるんじゃないだろうか・・敵対心の表れの象徴だろう・・・。




何なんだろう、普通の女の子は休みの日にいつも何をしているんだろう。




その時、何故か自分が異常な人間であることを痛感させられた。




わからないなぁ・・・普通の女の子。




私はしばらく考え込んでしまった。


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