唇にキスを、首筋に口づけを



そして1日が過ぎ、魔界に電撃的なニュースが走った。




"結界境線が解放!?


人間の目的は?"




そんな風に大きく書かれた見出し。




・・・きっと、


あの狩人を魔界に送り込むために結界境線を外したのだろう。




そして多くの知能のない、主に混血が人間界に入り込み、



多数の死亡者をだした・・・と。



ふぅん。



・・・そんなこと、俺には全く興味をそそられなかった。



どうしてか、


ゆりなを、失って。




ゆりなのことばかり、考えてしまって。




魔界である程度の地位にいる俺たち一族は父親をはじめ、バタバタとしているのに、


俺一人、部屋の片隅でボーッとしていた。



ゆりなは、元気なのか。



ゆりなは、無事か。



まぁ・・・大丈夫だろう。



あの内田という狩人がいるのだ。



凡なヴァンパイアに殺されるはずがない。



きっと、ゆりなは普段通りの生活を送っているんだろうなぁ。





___________

あの事件から一ヶ月ほど経過したころだ。



ゆりなを喪失したという俺の傷もだんだんと癒えてきたころ。




バン!!!




扉を蹴破る音。





またか・・・。




「兄貴、


少し静かに扉を開けないのか。」



俺は扉を蹴破った犯人である兄をジト目で見る。




兄は嬉々とした表情だ。




「今はそんなことどうでもいいって!」



大袈裟な身振り手振りで俺に近づきてくる。




いったいなんなんだ・・・。



兄貴のことだ、どうせ大したことないのだろう。



「聞いてくれ!!



あの、内田爽哉っていう狩人!!



俺がドサクサに紛れて殺してたみたい!」

ぴたり、空気が氷と化した。




・・・空気が変わった。




俺と兄との狭間で、クッキリと。




兄の方の空気な明るく、俺の空気は絶対零度並みであった。




は・・・?



俺は固まるしかなかった。




なに、言った。今。



俺の、聞き間違いか?




それとも、兄貴がアホか?




「今なんと言った・・・。」



無意識にドスのきいた声がでた。




「ん?なんか言った・・・「なんつったって聞いてんだよ!!!!」




俺は思わず声を荒げた。



なんでこんな声が出たのかも意味がわからない。



兄の言ったこと、本当は聞こえていた。



けど、事実と受け止めたくなくて、大きな声をだしてしまったのかもしれない。




自分でもこんな声が出るなんて驚いてしまった。




「だから!

内田爽哉殺したんだって!」



そう言って兄はケラケラと笑う。



その笑いが、俺の中の何かが引きちぎられたようだった。



は・・・



ふざけんな・・・。



「テメェ、なんてことしやがった・・・!!!!」




俺は兄の胸ぐらを掴む。



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