唇にキスを、首筋に口づけを
兄の目を見開く姿をみて
俺はすぐに我に帰った。
・・・何やってんだ俺は。
何考えてんだ俺は。
なんで、なんでだ。
なんでこんなこと考えていやがる。
敵である、しかも、逸材と言われていたほど強く、俺を瀕死へ追いやった狩人だ。
そいつが死んだら、
俺は普通嬉々とすべき。
むしろ兄を褒めたたえるくらいの気でいなくてはならないのではないか。
どうにか、どうにかして俺の気持ちをごまかせ。
「・・・俺が殺してやりたかったのに・・・
なんてことしやがる!!!」
俺はそのまま声を荒げ続けた。
いわゆる、自暴自棄というやつだ。
兄はわりぃわりぃなんて軽く謝りながら俺の部屋から出て行った。
パタン、というドアが閉まった音が響き、俺はソファに腰掛ける。
「はぁ・・・」
なんてことだ。
俺は馬鹿だ。
いつからこんなヴァンパイアに成り下がってしまったのだ。
血の器でしかない人間・・・しかも結界師を愛し、
その上その結界師が大切にしている人間の狩人が死んだことにとてつもなく焦りを感じるなんて。
ゆりなが・・・一人になることが、不安だ、なんて思うなんて。
おかしいおかしい、
いつからだ・・・
俺は純血だぞ。
高貴な存在であるのに、あぁおかしい。
気の迷いだ、気の迷いでしかない。
忘れろ、他の女、
他の女と接すれば何か変わる。
俺はそう思ってそのままソファに横になることにした。