執事と共にバレンタインを。
春樹は、穏やかに目を細めながら言った。


「お嬢様と一緒にいるとき常につけていたら、すぐ汚れてしまうでしょうからね」

「ど、どういう意味よっ」

「いえ、深い意味は」


春樹は、笑いを堪えるようにそう言った。


「……来年のバレンタインにまた新しいものを用意するわ」


来年のバレンタインも共に過ごす、という約束だった。
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