執事と共にバレンタインを。
しかし、その顔を見上げた途端――


「恵理夜様っ」


咄嗟に、恵理夜の体を春樹の腕が抱える。


「……薬飲むの、遅かったからかしらね」

――軽い貧血だった。


「いえ、今日はお疲れだからでしょう」


誘拐に抗争と、並々ならぬ神経を使った一日だったのだ。

思いのほか、恵理夜の体に負担を掛けていたのだろう。
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