消えてゆく
幸せな日々


東京の閑静な住宅街に、早苗の家はある。


倉田早苗は31歳の専業主婦。


10歳年上で小説家の夫、市朗と、小学3年生の愛娘、由季とともに穏やかに生活していた。


夫、市朗の小説に大きなヒット作は無いものの、家族3人で十分暮らしていけるだけの収入はあった。


真面目で堅い市朗は、仕事は家の書斎でこなし、空いた時間は家のリビングで新聞やら小説やら哲学書やらを読んで過ごす。


家族で出掛ける以外は、ほとんど外出をする事はないという男だった。


そんな市朗を早苗はとても気に入っていた。


家のリビングで読書をする市朗をみて、早苗はとても穏やかな気分になるのだ。


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