雪割草
第二十八章~紅葉
 「シローさん!シローさん!

そろそろ行きましょう!」

 その声にシローがうっすら目を開けると、上田がやきもきしながら表を覗いているのが見えた。

「どうしました?」

 考え事をしながら眠ってしまったせいか、頭がボーッとしている。

「表を見て下さい!」

 上田に促され、シローも公衆トイレの窓から顔を出してみると、道の駅のパーキングエリアには朝日が差し込み、従業員達が掃除を始めているのがわかった。

「急ぎますか」

 シローは立ち上がり、出発の準備をした。

掃き掃除をしている従業員達に気付かれないように、シローと上田は早足でその場を立ち去った。

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