雪割草
第十二章~別れ
 それから半月が過ぎた頃、段ボールハウスの人々には疲れがみえ始めていた。

何日間も睡眠時間を削りながらの重労働に、寝込む者さえ出てきた。

 そんなある日、ニシヤンが中野駅の方へ段ボールを集めに行ってみないかと、シローに持ちかけてきた。

その頃の新宿の集積場は、連日連夜の執拗なまでの段ボールの回収に、飽和状態になっていたからだ。
そこでニシヤンは新規開拓の為、中野駅前のアーケード街に目を着けたのだった。

 中野は新宿よりも小さい街だが、アーケード街には沢山の商店が軒を連ねており、高い確率で段ボールが回収出来るのではないか、というニシヤンの目論みだった。

シローと美枝子はすぐに支度をして、ニシヤンと共に中野駅へと向かった。

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