君がいれば・・・①
食事が終わると手を繋いで近くを散歩した。



すれ違う人はほとんどがお年寄りばかりで、シンの姿を見ると深くお辞儀をしていく。



「ここはまだまだ昔の生活が息づいている地域なんだ」



すぐ近くまで土地開発されてきているのだが。



「すごく綺麗な所だね 空気も美味しい気がする それにお料理もおいしかった♪」



日本に帰って体重計に乗るのが怖い。



自分の大好きな田舎を気に入ってくれてシンは嬉しかった。



付き合った女性を、一度もここへは連れて来た事がない。



連れて来た来たいと思ったことがなかったのだ。



******



帰り際、婆やは密閉容器に入ったたくさんのキムチを瀬奈に渡してくれた。



「シン、ごちそうさまでした ありがとうございました ってなんて言うの?」



言葉が通じない瀬奈は少しでも感謝の気持ちを伝えたかった。



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