君がいれば・・・①
2人がベッドを離れたのはお昼近くになってから。



もうすぐシンは空港に向わなくてはならない。



瀬奈は無理を言って空港へ送らせてもらった。



シンとしては家に帰ってくれた方が良かったのだが。



空港で別れるには忍耐力が必要だ。



キャップをかぶったシンは瀬奈と手を繋いで空港の中を歩いた。



一人の記者がホテルからつけている事など思いも寄らなかった。



別れ際のキスも遠くからカメラが狙っていたのも分らなかった。




「セナ、またな?」


またしばらく会えない……。


そう思うと瀬奈は涙が出そうだった。



別れる時はいつもお互い身を引き裂かれる思いになる。



「うん 身体に気をつけてね」



映画のワンシーンのようなキスを2人はした。



そしてシンは搭乗口へと入って行く。



瀬奈はその後姿を見て深くため息を吐いた。



置いていかれるような感覚に瀬奈はしばらく動けなかった。



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