僕の見つめる世界で。
…落ち着け。
そう心に言い聞かせ、僕は冷静に問う。
「それって一回だけ?」
僕の問いに小森はブンブンと
首を激しく横に振る。
僕の頭の中には“?”しか
浮かべることしかできなくて
完全に思考回路が停止している。
「だからね!カップルみたいなデートに連れて行って?」
顔の前で両手を合わせ、
「ね?」と僕の顔を覗き込んでくる小森。
「…いや、いいけどどうして?」
どうして僕なんかが?
何か企んでるのか?
そんな最低な疑問さえ浮かんでしまう。
「小野くんが色んな女の子の心を奪ってるからだよ?皆の心を奪っていく人と時間を一緒に過ごしてみたいの。あ、チャイムだ。じゃあね!」
「えっ、ちょっとそれどうゆう事…」
丁度授業開始のチャイムと共に小森は嵐のように去ってゆく。