僕の見つめる世界で。



…落ち着け。
そう心に言い聞かせ、僕は冷静に問う。


「それって一回だけ?」


僕の問いに小森はブンブンと
首を激しく横に振る。


僕の頭の中には“?”しか
浮かべることしかできなくて
完全に思考回路が停止している。


「だからね!カップルみたいなデートに連れて行って?」


顔の前で両手を合わせ、
「ね?」と僕の顔を覗き込んでくる小森。


「…いや、いいけどどうして?」


どうして僕なんかが?
何か企んでるのか?


そんな最低な疑問さえ浮かんでしまう。


「小野くんが色んな女の子の心を奪ってるからだよ?皆の心を奪っていく人と時間を一緒に過ごしてみたいの。あ、チャイムだ。じゃあね!」


「えっ、ちょっとそれどうゆう事…」


丁度授業開始のチャイムと共に小森は嵐のように去ってゆく。



< 5 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop