School
彼らも私みたいに学校が嫌いなだけなのかもしれない。

キィと重たいドアが開く音が風の音と共に聞こえた。

振り向く事なく、空を見つめた。

「もう、下校時刻過ぎたぞ」

先生の声だ。

トクンと胸が高鳴る。

「先生」

「ずっといたのか?」

「うん…ここ好きだから」

オレンジから暗くなっていく空を見つめる。

「そうだな…もう帰れ」

家か…。

「…………うん」

「佐伯?」

フワッと頭を撫でられた。

「さっ、さようなら」

ドキドキして気がおかしくなる。

通り抜けるように屋上の戸を押した。

「明日も教室来いよ」

そんな声が聞こえた。

「行こうかな…」

胸はしばらく高鳴っていた。

先生はおかしな人だね。
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