School
「ごめん…一人にしてって言われたのに盗み聞くような真似して…」
「ううん…私こそごめん」
「許さないでおく」
そんな事言いながらも、ぎゅうと抱きしめてくれた。
人はこんなに暖かい。
「ありがとう、楓」
ありがとうなんていつ以来言ったかな…。
「みっきー、かわいかった」
「え…何が?」
「微笑っていうのかな…優しい眼だった」
「微笑って…」
いつもどんな眼してるんだろう…。
「美月にだって人の血が通ってるから、笑うぐらいできるよ。」
嫌でも、あの父親と母親の血が私の中に流れている。
親は選ぶ事ができない。
「いつもはね、こんな顔してる」
指で眼を吊り上げてみたり、眉間にシワ寄せたり。
「………」
返す言葉が見つからない。
本当なんだろうなと思う。
「でもね、昨日よりも…柔らかい表情してる。
だから、日に日に良くなる。底辺なら上るだけ…ね?」
「最後がなければなぁ…最高だったかも」
「最後重要」
こんな他愛もない話。
楽しいなんて知らなかった。