School

「はや…山崎先生っ。その子は?」

鈴のような声のかわいらしい子。

「あぁ…調度いいや。クラスに案内してあげて」

「うん、分かった。おいで」

先生と代わり私の腕を引いて教室に行く。

「颯と一緒にいるって…何者」

どすのきいた低い声で坦々と話す。

「私もよく把握できてない…引っ張られて来たから」

理科係というパシリにさせられたと思うと、

授業に来いって言われると引っ張られて来た。

「颯がそんな…女子生徒は特に近づけないのに…」

「え…?」

「私は前田楓。よろしく」

学校の行事のような自己紹介。

すぐ私に関わらなくなるくせに。

名前なんか知らなくていい。

とりあえず変に思われないように名前だけ言う。

「佐伯美月…よろしく」

「美月ちゃんの名前ぐらい知ってるよ」

にっこりと私に微笑む表情には嘘がない。

「悪目立ち…だね」

「これから来ればいいよ」

「それはどうかな…」

「おいでよ…ね?何かあれば私がどうにかするし」

「私が先生と来たから…先生目当てでしょ?」

ひどいなと思いながらも聞いた。
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