恋愛妄想
暗闇から手を伸ばせ
あたしは彼を好きになり過ぎた。

いつも彼が気になる。

それは仕事にも如実に現われた。

仕事に集中できない。
ミスが目立つ。


彼と進展があるわけでもない。
でもあたしの頭の中は
彼の事しかない。

そして その時その時で
疑ったり
終わりを予想したり
黒い心が あたしの思考を侵す。

「自分がダメになるような恋愛はするな」
リカにも呆れられた。

会っている時は幸せ。
でも離れてしまったら…

未来の、あたしと彼のビジョンがまるで見えないのだ。


「最近仕事に身が入らないね…
暫く休養したら…?」
部長に呼び出される。

あたしは相変わらず
彼に黒い言葉を吐く。

止まらない。
夜も眠れない。
頭の中は彼の事しかない。

このままじゃ…ホントにダメになる…


リカに言われた。
「私、ヤツに友達紹介するよ」

「どうして?なんでよっ」
「ヤツがその子を選んだら あんた、身を引いてね」
「イヤ…リカ、なんでそんなことするの?」
「あんたたち、全然幸せじゃないじゃん…
ナオはヤツを疑ったり罵倒して、ヤツは疲れてるよ…厳しい事言うかもだけど…潮時なんじゃないの?」

「潮時って…あんたが決めないでよ…」

でもそれはあたしもわかってた。
怖い瞬間だった。

「ナオ…あんた超ドMだよ…
自分を追い詰めて、苦しんでる事に酔ってるだけだよ…
それに気付かないと…治していかないと…
また同じ過ちを繰り返すんだよ…」
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