新撰組の姫君 〜もしもの世界・斎藤一編〜
…なぜだろうか、

異様に腹が立つ。

「斎藤、剣に手を置くな」

「…?」

「無意識やな、怖いわぁ…」

…いつの間に剣に手をかけていたのだろう?

無意識だな…。

「斎藤が見つけていたらもっとひどかったのかもしれないのか…」

副長がぼやく。

「…総司以上のことなど、俺にはとても。」

「胴体と首が離れたりしとるんとちゃう?」

さすがにそこまでする奴は居ないだろう。

「…売女って言われてましたよ。奏さん。」

「………………蔵に用事ができました。」

「待て斎藤。処分は、後だ。」

副長が立とうとしていた足を押さえる。

「斎藤怖っ。」

「一君だけは怒らせちゃダメだと思う。」

引きつった笑顔を浮かべる山崎と、小刻みに震えている平助。

…何もした覚えが無いのだが?
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