15歳のラビリンス
飢えた獣のように牙をむいた顔。
表情だけで相手の士気を奪ってしまいそうな…。
階段の途中だというのに、私はその場に座りこんでしまった。
「わかるわけねーし、わかりたくもねーよ」
「んだと?!」
ジンににらまれてるというのに、サトルの表情は淡々としていて変わらない。
サトルも場慣れしているって事?
それとも、ジンのこんな姿を見るのは初めてじゃないって事?
ジンは右のこぶしを振り上げると、サトルを殴った。
左頬にパンチがヒットして、サトルがその場に倒れる。
サトルは上半身を起こしてフッと笑った。
「すぐに暴力で相手をねじ伏せようとするのか。最低だな、お前」
「黙れ!」
再びサトルの胸倉をつかんで、ジンは怒鳴った。
私はこれ以上、こんなジンを見たくはなかった。