15歳のラビリンス


飢えた獣のように牙をむいた顔。


表情だけで相手の士気を奪ってしまいそうな…。


階段の途中だというのに、私はその場に座りこんでしまった。



「わかるわけねーし、わかりたくもねーよ」


「んだと?!」



ジンににらまれてるというのに、サトルの表情は淡々としていて変わらない。


サトルも場慣れしているって事?


それとも、ジンのこんな姿を見るのは初めてじゃないって事?



ジンは右のこぶしを振り上げると、サトルを殴った。


左頬にパンチがヒットして、サトルがその場に倒れる。


サトルは上半身を起こしてフッと笑った。



「すぐに暴力で相手をねじ伏せようとするのか。最低だな、お前」


「黙れ!」



再びサトルの胸倉をつかんで、ジンは怒鳴った。



私はこれ以上、こんなジンを見たくはなかった。





< 276 / 338 >

この作品をシェア

pagetop