宿題するから利用して
「塾とかウケる! つっつん真面目」
「つっつん彼女ほしいならあたしと付き合おっかー?」
冬休みが明けて――こんな風に女子からやたら絡まれるようになったせいで、
勘違いしてしまったのかもしれない。
かっこよくなれば、あの子に好かれると調子に乗ってしまったのかもしれない。
やたらパーソナルスペースを排除し接近してくる人たちが立つ横幅の広い廊下には、
夏を引きずり熱を漂わせる空気が溢れている。
高くなった空の下、もう十八歳になるのにマドカ高校の雰囲気は学童保育の自由時間とそっくりだ。
例えば、再来週の体育祭。
恋人の手作り弁当を一緒に食べたりしたかった。