宿題するから利用して
それでも幸せだった。
教室で笑う田上結衣を眺める毎日は、彼氏になれないにしろ少なからず幸せだった。
大塚という馬鹿男は恋をしていた、好きだった。
あの子を瞳の裏に映せることは最も尊い片思いの醍醐味だったから、
諦めが悪い俺はまだしつこく近藤洋平と談話している田上結衣を見続ける。
時間は多分、四十四秒。
大きな手が可愛いあの子の後頭部をさらってすぐに額縁から絵が消えた。
「…………。」
再び現れた人物画は赤い顔をして唇を押さえており、さっきとは比べる必要がないくらい高級な笑顔を向けていた。
もう泣きたかった。
知りたくなかった。
近藤洋平だけが扱えるキスの魔法を。