五里霧中



初めのうちは周りの人間が怖かった。


あのおじさんみたいな人ばっかりに見えてたから。


毎日部屋に閉じこもって、たまに様子を見に来る彼にさえいちいち怯えていた。


少しの衝撃でも壊れてしまそうで。


アタシはアタシに蓋をしていた。臭いものには蓋をしろって感じで。


怖くて怖くて、悲しくて悲しくて。


何度も死んでしまいたいと思った。


それでも今アタシが生きているのは、多分きっとあの人のおかげ。



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