五里霧中



「……ご、ごめんなさい」


オレは小さく呟き、家を飛び出した。


リビングの窓からはいつまでも二人が見ている。


背中がすぅっと冷たくなるのを感じながら、オレはいつも通りの場所に向けて自転車を走らせた。



ペダルを踏むたびに。


あの場所に近付くほどに。


オレの心臓はドクドクと高鳴っていく。


早く、早くついてくれ。



そして、早くあの子に会わせてくれ。



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