五里霧中



「最初は私を警戒しているんだと思ったが、そうじゃなかった。

その憎悪は私だけじゃなく、大人という存在に向いていたんだとわかったんだよ」


「……あそこにいた子供で、大人を好きな子はいないですよ」


「あぁ。君の目が今もそう語ってるよ」



そうだろうか。


意識しているつもりはない。



「無意識のうちに警戒してるんだ。君はずいぶんと臆病らしい」


「そんな話をしにきたなら、早く僕を裁判にかけて有罪にしてください」


「まぁまぁ、落ち着け。話はまだ終わってない」



誘導尋問を受けているようで気分が悪い。


でもなぜか目をそらすことができなかった。



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