月夜に舞う桜華



『…………フフッ』


しかし、そんな殺意も小さな笑い声で霧散する。


『桜姫?』

『あぁ、すまない……しかし、お前達のレベルの低さに、な』


クスクス笑う桜姫に、俺は失礼なことを言われたにも関わらず嬉しく思う。
滅多に笑わない桜姫の貴重な笑顔だ。


『何言ってるんだよっ重要だぞ?!』

『司は桜姫を独り占めしようとしていたんだ!!』

『変態だっ』


『………おい』


立ち上がり、軽く埃を叩いてから俺は、三人を睨む。


『何だよ、四人して………そんなにあたしが好きか?』


冗談めいたニヤリとした笑みに、ドクリと心臓が高鳴る。
時々見せるこの笑みは妖艶だ。


『当たり前だろっ』

『大好きだ!!』

『ずっとなっ』



三人は、子どものように、笑う。


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