月夜に舞う桜華



ちょっとコンビニに寄った後、何時も通りに溜まり場に向かう。


新作のチョコレートが出ていて、桜姫のたもに一つ購入。


『喜ぶだろうな』


無類のチョコレート好きな桜姫だ。
きっと笑顔を見せてくれるはず。


そんなことを考えながら中に入ると、いつもと様子が違った。


『お、司』

『和………?お前、頭……』


既に来ていた和が手をあげるが、それよりも俺は、和の頭に驚く。


『どうだ?綺麗に染まったろ?』


前髪を一つまみしながら和は自慢してくる。


『まぁ、な』

『だろ?』


にかっと和は久々に晴れやかな笑みを浮かべながら、俺に背中を向けるとガタガタと何か作業を再開する。


『何してるんだ?』


周りを見渡し、桜姫がまだ来ていないことを確認した後和の手元を覗き込む。


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