月夜に舞う桜華




『―――――桜姫は、死んだ』




一瞬、和が何を言ってるか分からなかった。


『―――は?』

『桜姫は、死んだ。』


もう一度、和は繰り返す。


『ハッ……おい、冗談にしては笑えないな』

『…………』



いつもの冗談かと思えば、真っ直ぐ見つめられ、俺の胸はざわつく。


『っ』


慌てて、通話ボタンを押し、繋がるのを待つが、何時まで経っても相手は出ない。


(桜姫っ……なんででねぇんだ……!)


ようやく繋がったと思えば留守番サービス。何度繰り返しても同じ。


『無駄だ………通じねぇよ』

『っどういうことだ!!』


和の胸ぐらを掴み揺さぶる。


『桜姫が死んだだと!?ふざけるなっ!!桜姫は何処に行った!!』


頭に血が上る。


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