月夜に舞う桜華



『雨で何も見えないなか、横断歩道を渡っていたら車が突っ込んできた。』


―――――即死だった。


『…………な、に言って…』

『事実だ。』


真っ直ぐな目で見つめられ、和は嘘をいっていないように思える。


『他の連中には抜けたと言う』

『は?』

『混乱するだけだろ?』


耳を疑った。
事実を言わない?皇蘭の連中は、桜姫を総長と慕い、ついてきた奴ばかりだ。


『もう決めた………桜姫はもう、いないんだ』

『………』


ザッザッと足音が遠ざかっていく。


その場に一人残った俺は、ジッと十字架を見つめた。


『桜姫………?』


信じたくない。
桜姫が死んだなんて、嘘だと思いたい。


しかし、現実は………


『嘘………だろ?』


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