月夜に舞う桜華



それに、一番長く一緒にいた和があんなに冷静でいられるのか?


考えれば考えるほど不審な点が多すぎる。


俺は、立ち上がり十字架を見下ろす。


『桜姫』


あれだけ泣いたが、やっぱり俺は、桜姫が死んだなんて信じられない。
だって自分の目で見ていないのだから。


『さっきの涙は無しな』


全部終わってから、改めて泣くよ。


俺は、小さく笑うと、顔を伝い流れる雨水を両手で拭い、気合いをいれるために頬を打った。


『よし!』


ついでに髪を掻きあげ、俺は、十字架を一瞥した後、踵を返した。





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