王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~

 綾菜はどれだけ異性が苦手か、先程から繰り返し説明をした。

 対する答えは慣れろの一点張り。

 確かに慣れるほど異性に接したことはないが、努力でどうにかなるとも思えない。

「気絶しちゃうんですよ、私」

「問題ない。倒れていたら、運ぶくらいしてやる」

「はぁ?」

 気を失うほど苦手だと言っているのに、まともに相手にしてもらえない。

 ホントに意地悪。

「倒れたら、対処はすると言っている。証明してほしいのか?」

 御影はソファーから立ちあがった。

 口元を僅かにあげ、さも楽しそうに歩を進めてくる。

「やめてっ。来ないで」

 背中は壁。

 後ずさりすらできない状況に、綾菜は真っ青になった。

 このままではまた、気が遠くなってしまう。

< 14 / 191 >

この作品をシェア

pagetop