王子様はルームメート~イケメン彼氏とドキドキ寮生活~
――お願い。話しかけないで。
異性が近くにいるというだけなら、我慢はできる。
しかし、関わりをもたれると、とたんに背筋が凍ってしまう。
虫を観賞できても、触ると震えがくるという感覚に似ているのかもしれない。
「顔色が悪いな。気分が悪いのか?」
もう何も言わないでと心の中で叫ぶ。
このひとは、いいひとだ。
死にそうなほどの混雑から、身体を張って守ってくれている。
気持ち悪いと思うなんて失礼だ。
必死に言いきかせても、異性に近づかれているという嫌悪感は消えてくれない。