アクシデントな恋
潤をタクシーに乗せると

「お前は家に帰れ!潤は俺が送って行く!」

龍はそう言うと、寿麻に自分の車のキーを渡しタクシーに乗り込んだ。


寿麻は言われるがまま自宅に帰った。

何かを悩んでいる潤と血相を変えてきた龍を二人にする不安を抱えながら…




龍は隣で酔いつぶれている潤を見ながら
怒りで頭が可笑しくなりそうだった。


『こいつは一体…復讐めいた事をして…寿麻が欲しいだけで役員たちをも動かしているのか…
何があっても寿麻は渡さない!
潤…お前は…』


龍は爪がくい込むくらいに手を握りしめ怒りを押さえていた。



潤の家に着き、そのまま玄関の前に放置しておきたかったが、中に引きずるように連れて行きベッドに寝かせた。


そして玄関に向かう途中にリビングで何かにつまずいた。


龍はつまずいた物を拾おうと下に手をやると…

本だった。
その本の中から、自分の母親と叔父の写真が出ていた。


大蔵から話しは聞いていたが、写真を目の当たりにすると何故か寂しく思えた。
自分の母親が父親でない人と写る写真を見ると…


龍はハッ!っとなった

潤は知ってしまったんだ。親の過去を…

だから…


龍は潤と話さなくてはいけないと思った。

今後の事も…両親の事も…
大蔵には言うなと言われたが、こうなってしまっては…。
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