【完】愛しい君は
気がつけば優太たちはすぐ前にいて、
優太はあたしに気づいてなくて。
いつもあたしが居た位置は
舞ちゃんの方がすごく似合ってた。
あたしの居場所だった。
唯一のあたしと優太の繋がりが
もう、なくなったんだ。
足は自然と早歩きになっていて
今にも優太たちを抜きそうだった。
逃げるように優太たちを
追い越した時、優太が言った。
「美穂、じゃあな。」
なにも律儀に
こんな時まで言ってくれなくても
よかったのに。
最後まで、優しいんだから。