切ない純愛崩れ


――大塚は狡い。

恥ずかしくて結衣を直視できないから、動揺する恐れがない安全な私の方を見る。


本来なら見つめ合うと恋心は高鳴るのに、どういう訳か心臓が痛むから辛い。

彼は自分の何気ない行動で、二年C組の一人を切なくさせていることを知らない。

知ろうともしてくれない。


 …………。

 私のことも意識してよ

結衣を瞳に映したい癖に、まるで彼女の代役のように大塚の丸には私が居る。

少し泣きそうな顔をした女の子と目が合った。


切なくて、辛くて、苦しくて、泣きたくて、痛くて、むなしくて、馬鹿みたいで、悲しくて、もどかしくて……

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