君を想うとⅢ~True love~


わかりやすい。
わかりやすいなぁ、藤堂は。



藤堂秀人という男はまっすぐで正直で、炎のように熱い男。





「ホント…部長はドSですね。
あぁいうの見せて俺が苦しんでる姿をみるのが楽しいんですか!?」



「そうだ…って言ったら?」


挑発的な瞳でアイツを見つめると、怒りを噛み殺すように藤堂は両手をギュッと握りしめて





「……今すぐ…殴りかかってやりたい…!!!
部長に抱かれてる伊織を想像しただけで…、気が狂いそうだ!!!!!!」






そう言って。
燃えるような瞳をして俺を睨み付ける藤堂。







藤堂はまっすぐで正直だけど…。
逆を言えば、単純で幼稚なおバカさん…だな。






コイツはその幼稚さゆえに俺っていう男がいながら“俺は伊織が好きだ”と叫び。


アイツを一途に想う理央ちゃんを無意識に傷つける。





俺は……
藤堂のコトは気に入っているけど、コイツの不用意なまっすぐさは気に入らない。





俺や高宮のコトは、まぁいいや。
どうやったって泥沼恋愛の当事者だからな。






でも……
理央ちゃんはどうなんだ?







あの子は優しくて強い子だから


“あたしなら大丈夫!!”


とかなんとか言ってそうだけど、きっと凄く傷ついてるんじゃないか?





高宮と藤堂の幼稚さが身近にいる優しい女の子を不用意に傷つける。




なんとなく。
なんとなくだけど、それだけは許してはいけない気がした。








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