君を想うとⅢ~True love~


「お前は幸せなヤツだな。」


皮肉を込めてそう呟くと



「は?何が言いたいんスか。」



藤堂は不機嫌そうに眉をひそめる。







「お前はいいねぇ、単純で。」


「…は?」


「前だけ見て、突進すりゃあいいだけだもんね。
その横で誰が傷つこうが苦しもうがお構い無しか?」





そこまで言うと。
何かを察したのか藤堂は



「部長が言ってんのは…一ノ瀬のコトっスか?」




とため息まじりに訊ねる。






“そうだ”とも“そうじゃない”とも、否定も肯定もしないまま藤堂の瞳を真っ直ぐに見つめ続けると





「確かに俺は一ノ瀬にはすげぇ酷いコトしてる。俺が同じ立場なら許せないと思うような酷いコトを。」






少し弱った瞳で。
俺の視線を避けながら申し訳なさそうに藤堂が呟く。






「一ノ瀬に対してどれだけ酷いコトをしてるのかは…、十分わかっているつもりです。」



「なら…もう高宮のコトは諦めれば?
俺はお前と理央ちゃんはお似合いだと思うよ?」






まっすぐすぎる藤堂に、しなやかな女性らしい強さを持つ理央ちゃん。


俺は皮肉とかヌキにして藤堂と理央ちゃんはお似合いだと思う。





あーいうお子さまで幼稚な男には理央ちゃんみたいに強くて大人な女がぴったりだと…、俺は常々思ってる。






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