君を想うとⅢ～True love～

なのに…




「部長…。
一ノ瀬は俺にとっては信頼できる女友達で、カワイイ妹で…それ以上でもそれ以下でもないんです。
俺が欲しいのは伊織だけなんです。」






何故かコイツは高宮に固執する。
それが愛なのか意地なのかは、俺にはよくわからない。



思い出の中の高宮を好きなのか、現実の高宮を好きなのか。


それがどちらなのか、俺にはサッパリわからない。






藤堂の瞳に映る高宮はどっちなんだろう。
それを…見極めてやりたい。







藤堂の真意を読み取ろうとアイツの表情を黙ったまま伺っていると




「ありえねぇ話だけど…一ノ瀬はそれをわかった上で俺を見守ってくれてるんです。
こんな、どうしようもない俺を…ね。」





酷く傷ついた目をして藤堂がポリポリと頭を掻く。






「勝負の行方はなんとなく目に見えてます。さっきの伊織の表情を見れば…特に。」




じゃあ…やめれば？
さっき高宮が告げようとしたサヨナラを受け入れればよかったじゃないか。




そう…
言ってしまいそうになった時。




藤堂はキッと前を見据えてこう言った。






「でも…俺、もう伊織を手に入れること諦めないって決めたんです。
一ノ瀬にとって酷い男でも何であっても、俺は伊織が好きなんです。その気持ちだけは…絶対に変えられない。」