君を想うとⅢ~True love~
その言葉を聞いて一番に芽生えた感情は、焦りではなく…怒り。






“伊織を諦めない”




それだけがコイツの信じる真実の道。





きれいだよ。
一途に誰かを思うって、人間としてとってもきれいな感情だと思う。




男と女が恋をして
向き合える相手は、大体の場合が1対1。



誰かの幸せの影には、必ず涙の跡がある。







そう…。
俺とイブ、そして龍の関係性のように。







わかってる、
わかってるんだ。








人はそんなに偉くない。
自分の身近にいる人達、全員を包み込めるほど大きくも、優しくもなれない、小さな生き物だとよくわかってるつもりだよ。





欲しいものの為には手段は選ばない。

藤堂の貫きたいそのスタイルは、痛いくらいに理解はできる。








それくらい…コイツは必死なんだ。

高宮伊織という女が欲しくて欲しくて、それしかなくて。




周りのコトに何一つ、気を配れない程に高宮伊織というオンナに溺れてる。






それは…わかる。







でも…俺は藤堂の抱える、隠れたズルさが許せなかった。






だから…かな?






「ふーん。藤堂は理央ちゃんが自分を好きでいてくれる…って安心感の中で恋愛してるんだ。」


「…は?」


「それって…
ずいぶん卑怯じゃない?」







あんなキツイ皮肉を言ってしまったのは。







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