君を想うとⅢ~True love~
俺の言わんとしていることにピンときたのかイラついたのか。
藤堂はピクリと眉を歪ませながら
「…どういう意味っスか。」
俺の顔をジロリと睨む。
「別に?そのままの意味だよ。
理央ちゃんって逃げ場をキープしながら恋愛できれば…そりゃ楽だよなと思ってね。」
ニッコリ笑ってアイツの肩をポンと叩くと
「…ふざけんな!!
俺は一ノ瀬のコトをそんな風に思った時は一度もねぇよ!!!」
お子ちゃま藤堂は真っ赤な顔して怒りながら、俺の顔をきつく睨み上げる。
は~。
コイツのこういう所、部下としては(扱いやすくて)好きだけど…。
俺のライバルを張るにはちょっと役不足だ。
「藤堂、お前もっと大人になれよ。」
「…は?
意味がわかりません。」
「俺から高宮を奪いたいなら、俺よりもっとイイ男になってみろ。
自分のズルさを誤魔化すな。」
俺はイブと恋愛してる時。
その影でどんなに龍が傷ついているのか、気づいてたクセに気づかないフリしてた。
そう、今の藤堂みたいに。
それが3人にとって一番幸せな選択なのだと言い聞かせてた。
だけど…そうじゃなかった。
その選択は間違いだった。
そのまちがった選択のせいで
俺の弱さのせいで。
俺は龍に、10年近くも出口のない苦しみを味わせてしまうハメになってしまった。