君を想うとⅢ~True love~
「どーいう意味だよ。」
俺が知ってる伊織は伊織の半分にしかすぎない…??
アホか。
アイツとは何年の付き合いだと思ってんだ。
アイツのコト、半分しか知らねぇなんてありえねぇ。
ムスッとしながらビールをグビッと喉に流し込むと
「お前は…そういうだろうな。」
タバコの火をグリグリと灰皿で消しながら祐吾は呆れたように笑う。
「でも…これは素直に認めろ。
“善と悪”人間は必ずその2面性を持っている。
でも…お前は“善”ばかりを見て“悪”を見ようとしない。
だから…お前は本当の伊織ちゃんの半分しか知らないんじゃないか??」
その言葉を聞いて。
ドンカンな俺も祐吾が言いたかったコトがやっとわかった。
「俺は“エンジェル伊織しか知らねぇ”って…そう言いたいのか?」
その問いかけに祐吾はコクンと深く頷く。
「お前は愛した女の半分にしか向き合ってやらないから…誰も幸せにしてやれねぇんだよ。」
そう言って。
祐吾はポリポリと頭を掻くと
「うまく言えねぇけど、よく言うだろ?
愛は与えあい、求めあい、お互いを許しあうコトだ…ってな。」
少し恥ずかしがりながら。
祐吾は柄にもなくこんなコトを言い始めた。