君を想うとⅢ~True love~


祐吾に言われなくても、この勝負が俺にとって不利なコトは十分承知の上だよ。





俺に勝ち目なんて微塵もないことも、

伊織が見つけた答えの先も、

ほんとは全部わかってる。





…ほんとは…全部わかってるよ……。









ムカつくけど……


祐吾が言いたいことはわかる。







何を言いたくて

何を伝えたくて

何に気づいて欲しかったのか





痛いくらいによくわかる。





亜美のこと


伊織のこと


そして…一ノ瀬のこと。







きっと俺は大事なボタンを掛け違えてる。


愛の意味も、恋の意味もよくわからないまま、ただ子どものように伊織を欲しがっている。





きっとコレは…

恋であって、愛じゃない、ただの子どもじみた独占欲。






98%は理解できる。



もうこの恋からは手を引いた方がいいと。







俺も伊織もあの頃みたいに純粋なままじゃない。



好きだけでは満足できない。



今の俺たちはズルい駆け引きとズルい計算のできる、立派なズルい大人だ。






なのに…
俺が伊織を想う気持ちはあの頃のまんま。
ガキで一生懸命だったあの頃のまんまなんだ…。





成長しない愛と

今を繋ぐ愛。








その二者択一なら…

誰だって後者を選ぶに決まってる。





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