君を想うとⅢ~True love~
「しんっ!!!!!!」
そこから先は……
正直よく覚えていない。
大きな声で叫ぶお父さんの声
お母さんの悲鳴。
しんちゃんがボールをつかんで嬉しそうに笑う顔と、その背後に迫りくる赤い乗用車。
けたたましく鳴り響く、ブレーキ音。
「…っ!!!!
しんちゃん……っ!!!!!!」
気がつくと。
私は車道に思いっきり駆け出して、しんちゃんの体をギュッと思いっきり抱きしめた。
その瞬間――……。
ドンッ!!
鈍い衝撃音と鋭い痛みが体中を襲う。
――離しちゃダメ!!絶対にしんちゃんを守らなきゃいけない!!
体中が痛くて腕の力が緩まってしまいそうになる。
でも絶対に緩めちゃいけない!!
そう自分に渇を入れて…、私はしんちゃんの体をギュッと思いっきり抱きしめた。