君を想うとⅢ~True love~



耳に響く、辺りの喧騒と
しんちゃんの大きな泣き声。
カバンの中で鳴り響く、ケータイの着信音。


今までに感じたことのないような体の痛み。





―いたい……。





ボーっとするアタマの中で腕の中にいるしんちゃんを見つめると

「わぁぁぁぁ~ん!!!!!」

少しのかすり傷はあるけれど、命に別状はないみたいだった。





――よかった……。




しんちゃんの無事を確認すると、私はゆっくりと腕の力を緩めていった。






「おい!!救急車と警察呼べ!!」

「女の子が轢かれたぞ!!!」



「高宮さん!!」

「高宮さんっ!!??」





薄らぐ視界の中に見えたのは、泣きじゃくるお母さんと、苦しそうな顔をしたお父さん。
なんだか大変そうに動き回る街の人たち。




「うわあぁぁぁん!!」

「高宮さん!?大丈夫ですか!!?
高宮さん!!!!!」




――うん…。痛いけど…だいじょう…ぶ……




そう思った、最後。



私は痛みとショックのあまり、意識を手放してしまったのだった……。





< 368 / 569 >

この作品をシェア

pagetop