君を想うとⅢ~True love~
耳に響く、辺りの喧騒と
しんちゃんの大きな泣き声。
カバンの中で鳴り響く、ケータイの着信音。
今までに感じたことのないような体の痛み。
―いたい……。
ボーっとするアタマの中で腕の中にいるしんちゃんを見つめると
「わぁぁぁぁ~ん!!!!!」
少しのかすり傷はあるけれど、命に別状はないみたいだった。
――よかった……。
しんちゃんの無事を確認すると、私はゆっくりと腕の力を緩めていった。
「おい!!救急車と警察呼べ!!」
「女の子が轢かれたぞ!!!」
「高宮さん!!」
「高宮さんっ!!??」
薄らぐ視界の中に見えたのは、泣きじゃくるお母さんと、苦しそうな顔をしたお父さん。
なんだか大変そうに動き回る街の人たち。
「うわあぁぁぁん!!」
「高宮さん!?大丈夫ですか!!?
高宮さん!!!!!」
――うん…。痛いけど…だいじょう…ぶ……
そう思った、最後。
私は痛みとショックのあまり、意識を手放してしまったのだった……。