君を想うとⅢ~True love~
どんどん狭くなる視界と
どんどん遠ざかる聴覚。
「高宮さん!?高宮さん!!??」
深い深い海の底にどんどん引きずりこまれていくような、不思議な感覚。
大の字になったまま白い海にゆっくりゆっくり引きずり込まれているようだ。
痛みとか
感覚とか
思考なんて何もなくて
ただ深い海の底に沈んでいく
体と意識。
無意識に閉じられたまぶたの裏に見えるのは、白い白い世界。
人もモノも何にもなくて
真っ白のだだっ広い箱の中に、
たった一人で閉じ込められてるみたいだ。
――寒い……。
なんだか体中が凍えるように寒くって
ガタガタと震えが止まらない。
ガタガタと震える体に
ガチガチと鳴る、歯。
このまま私、沈んでいくのかな。
体には力が入らなくて
お腹に力も入らないから声すら出せない。
たゆたうように
浮遊するように
沈んでいく体と意識。
もう……いいか。
ずっとこのままでもいいや……。
このまま眠ってしまおう。
何も考えずに
何も感じず
もう楽になってしまいたい。