君を想うとⅢ~True love~

だって……
苦しいんだもん。


生きるって簡単なようで難しくて…
やっぱり難しい。



キレイな自分でいたい。
正直でスナオで
怒りやねたみや、ズルさとは無縁な自分で生きていたい。



そう願うのに…
私はそうは生きられない。




大人になるたびにずるくなる。
いやな自分に直面する。
目を伏せたい、大キライな自分に遭遇する。




なんど……
そんなイヤな夜を過ごさなきゃいけないんだろう。




いやな自分を見つめて、
非難して、
許して、
認める。



そんな作業を何度繰り返せば、世に言う人たちの“素敵なオトナ”になれるんだろう。





もう…沢山。
私はいやな自分とは直面したくないし、もう傷つきたくなんてない。






誰も傷つけたくない
誰にも傷つけられたくない。





もう…終わりにしたい。
終わりにできるなら終わらせたいよ。
こんな苦しい、つらい、修行の日々から。




そう思って。
もう目を閉じようと思った時。




「もう諦めちゃうの?
高宮は意気地なしだねぇ~。」



目の前に。
ブランド物のスーツをサラッと着こなし、右手にはタバコの煙をくゆらせながら、馬鹿にしたような目で私を見つめる、ドSな上司が現れた。




< 370 / 569 >

この作品をシェア

pagetop