君を想うとⅢ~True love~


「高宮さん、コレ何かわかりますか??」


先生はそう言って私の目の前に自分の指をパッと差し出す。


「……手……。」


「じゃぁコレは??」




今度は私の目の前に3本の指を立てて、


「コレは何本に見える??」


優しく訊ねる、先生。




「……3ぼん……。」




ダルイ体にムチ打ってその一言だけをやっとのことで口にすると



「うん…。意識はハッキリしてるみたいだね。脳波の異常もない。
今はゆっくり休んでください、高宮さん……。」



そう言って。
先生は私のまぶたをゆっくりと閉じさせた。



まぶたを閉じて夢と現実の狭間をウロウロと彷徨(さまよ)っていた時。



「しんくんのご両親もこちらへ…。」



先生はしんちゃんのお母さんに声をかけて、病室の外に連れ出した。



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