君を想うとⅢ~True love~


11時!!??


うそ、うそ!!!
どうしよう!!!




約束の時間まで、あと1時間しかない!!




行かなきゃ!!
桐谷慎の所に行かなきゃ…っ!!!!!




腕に繋がれた点滴の管を力任せにむしりとって、無理やり起き上がろうとすると



(いたい…!!!いたぁ……っ!!!!)



体中がミシミシと音を立てて、折れた肋骨が肺をえぐる。
耐え難い痛みが体中を襲って、私は起き上がることなくベッドに崩れ落ちた。




「何してるんですか!!!!!
高宮さん!!あなたは肋骨を2本骨折してるんですよ!!?
自由に動き回れるワケないでしょう!!!!」




センセイは声を荒げながら、私の体をゆっくりベッドに押し付ける。



「あなたは絶対安静なんです!!」




耳元で響く先生の声。
軋むカラダに、苦痛に歪む顔。
息をするだけでも苦しくて、腕を上げようとしたら激痛が体中を襲う。





先生が言ってる事はよくわかる。
事故の大きさと、この尋常じゃない痛みを考えても…
今日退院して外出させるなんて、医師として絶対に許せないことなんだろう。




でも…でも…っ!!!!




「行かなきゃ…、私は行かなきゃいけないんです!!」




今日、桐谷慎の所に行かなかったら
私は一生カレを失うことになる。








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