君を想うとⅢ~True love~



いつもより少し早めにランチを口に運んで。
私達は言葉少なに、とにかく食べ物を口に運ぶ。




理央があの時何を考えていたのかはわからない。
でも、飲み物を慌しく飲み込むと、
理央は伝票をサッと取りあげて“行きましょう”と席を立った。





「近くに私が行ってる病院があるわ。
女医さんで、雰囲気もよくて安心できる先生よ?
それでOK??」


「うん、私は詳しくないから理央に任せる。」





足早に席を立ち、大通りに出てタクシーを拾う。
10分くらい乗っていると、理央の目指す小さな病院に着いた。




病院の中へ入ると…
お腹の大きな幸せそうなお母さん達が、穏やかな顔をして待合室で待っている。




幸せそうに笑うお母さん。
お腹をさすりながら、隣の人と談笑する、お母さん。





そんな…幸せで、温かな彼女達を見ていると。
心配よりも、何よりも、この空間の中にいられることの方が幸せに感じられた。





だから…かな。






「おめでとうございます。
妊娠6週目に入っていますね。
どう…なさいますか??」






診察室の中で。
優しい笑顔と共に、先生に妊娠を告げられた時。





「……私は…産みたい。
許されるのならばこの子を産んで、育ててあげたいと想っています。」





悩むより、考えるよりもまずスナオに。
素直にそう思えることができたんだ……。




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