君を想うとⅢ~True love~
そしてその日の夜。
スカイプをつなぐと、目の前にいたのは酷く疲れた顔をした藤堂センパイ。
センパイは伊織の顔を見た途端、
『ごめん、伊織。』
と土下座しだした。
事故の原因になった電話のこと。
何も知らずにのうのうとシスコで新しい生活を過ごしていたこと。
それらの全てを謝ると、センパイはまっすぐに伊織を見つめてこう言った。
『伊織。
俺は…部長の代わりにはなってやれない。
オマエの淋しさも心細さも埋めてやることは出来ない。
だけど…さ。
生まれてきた子どもの…父親代わりになってやることはできる。』
『え…??』
『あ!!勘違いすんなよ!?
俺と結婚しようとかそういうんじゃないんだ!!
なんていえばいいのかなぁ…。
ほら、父の日とか、父親参観とかいろんな場面で“父親”って存在が必要になってくるときあるだろう??
そんな時…力になってやりたいんだ。』