君を想うとⅢ~True love~
――マズイ…。不覚にも泣きそう…。
最高に鈍感なセンパイに、少し憎しみに似た感情を抱きながら。
こみ上げてくる熱いモノの正体に勘付かれたくなくて、その場を去ろうと立ち上がると
「待てよ。
何で逃げんだよ。」
真剣な瞳をして
センパイが私の腕をぎゅっと掴む。
その瞬間。
本当に殺してやりたいくらいにセンパイの鈍感さにムカついた。
「だ、だってコレ冗談でしょ?
よく考えても見てよ!あたしはセンパイが好きなのよ!?
こんなこと言われたら…期待しちゃうじゃない!!
あたしのこと好きになってくれたのかなって、変な期待をしちゃうじゃない!!!」
ずっと…憧れてた。
センパイに“仲間”でも
“女友達”でもなく
ただの“オンナノコ”
として見られること。
だけどどうやったってあたしはこんな可愛げのない性格で、伊織の親友。
だから…そんな日が来るはずないってわかってた。
わかってたけど、そんな弱虫な自分を認めたくなくて、必死に虚勢を張ってたんだ。
報われない想いだとわかってる。
だけど辞める勇気もない。
男前女子に隠れた本音は、
自分への自信のなさ。
だって…相手はあの伊織だよ??
どうやったって勝てる気がしない。