君を想うとⅢ~True love~
その苦しい痛みに耐えながら
「知ってたわよ、ソレくらい……。」
ゆっくりと言葉を紡ぐと
「あ、やっぱり??」
究極鈍感男はテヘっと笑いながら、こんな悪魔の一言を口にする。
だって、センパイはいつだって伊織しか見ていなかった。
あたしはいつだって伊織のオマケ。
それくらい、わかってましたよ。
えぇ、わかってましたとも。
ギロリと睨みつけながら
「シスコに行っても、ひたすら伊織と仁の話しかしなかったもんねぇ?
若い男女が同じ屋根の下にいるっていうのに、全く手を出そうとしてこなかったもんねぇ??
おかげであたしのプレイガールのプライドはズタズタよ!!!」
ケッ!!と啖呵を切ると
「あのな~。
俺はオマエが大事だから手を出したくなかったんだよ。」
ハァ~とため息を吐ききって。
センパイは私の瞳をジッと見つめる。
「一ノ瀬が大事だから。
俺は自分の気持ちの正体にちゃんとした答えが出るまでは、手は出さないって自分に誓った。」
「は??」
「よく聞け!!
俺はな??恐ろしいことに最近、一ノ瀬をかわいいと思うようになっちまったんだよ……!!」
そう言って。
センパイは信じられないと言う顔をして、
ワナワナと震える自分の両手をジッと見つめていた。