その涙も俺のもの
思わず一歩後ろにさがる。



いお君が無言で真っ直ぐ私を見ながら近寄ってくる。



距離が狭くなったとき、私ははっとした。


いお君の顔に出来た、無数の痣…



「いお君!これっ…」




手を伸ばして肌に触れようとすると、ぱんっと手を叩かれた。



―え?



「触んな」


ビクンッと体が跳ねる。

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